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白石温麺物語(温麺の由来)
元禄の昔―。
 鈴木味衛門という親孝行の青年が当地白石におりました。
味衛門の父親は、長年胃病を患い、味衛門は父親の身体を心配する毎日を送っておりました。
 父親はそうめんを食べたいと訴えましたが、そうめんは油を使ってあるからと、医者からは許しが出ませんでした。
 そんなある日、旅の僧侶から、油を使わない麺の作り方を聞いた味衛門は、試行錯誤を重ねた末、ようやく父親に食べさせる事が出来るまでの物を造り上げました。
 それまでは、ろくに食べ物も口にできなかった父親は喜び、徐々に食欲も回復へ向かい始めました。
 やがて父親の胃病は全快し、この話が時の殿様に伝わりました。
 殿様は味衛門の温かい思いやりの心を賞められ、親孝行の温かい心から生まれた麺を 「温麺(うーめん)」と御名付け下さいました。

白石温麺と私たち
  ●日常使い
 味衛門が白石温麺を造り上げてから今日までの間に、白石温麺は生活に少しずつ浸透し、現在におきましては、無くてはならない存在になりました。それは、極々日常、頻繁に食卓に上る、“普段使い”の食材となったのです。
 「今日の昼は温麺茹でるかー」 「んだねー(そうだねー)。」
・・・・などなど、ちまたでよく聞く会話です。

  ●優しい心
 昔と変わらない「水・塩・小麦粉」が原料であり、添加物などは一切使用しておりません。ですから赤ちゃんの離乳食やお年寄り、そして味衛門の父親がそうであったように、病人食として最適なのですが、それにはもう一つの理由があるのです。
 長さ3寸(約9センチメートル)ですから、一般的な麺よりかなり短いのが特徴です。
 病人などにとって、「(麺を)すする」という事はたいへん体力のいる動作です。温麺が短い理由は、少しの力でも食べやすいように、という優しい思いやりの心からのことです。

  ●温かく?冷たく?
 まだまだ、関東以西の方々には馴染みが薄く、「【温麺】と言うのだから、温かいつゆで食べる冬の食べ物だろう」とお思いになる方がほとんどです。
 細麺ですから、春夏秋冬、四季を通じ、温かくも冷たくしても美味しくお召し上がり頂くことができますが、本来の白石温麺のシーズンは夏なのです。
 県内の一部地域に、「おくずかけ」という白石温麺を使った料理がありますが、これはお盆に食べるならわしの郷土料理です。